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西穂高から槍ヶ岳縦走
平成15年9月13日.14日.15日 テント泊
参加者:4名
1日目(13日) 富山市内〜新穂高〜ゴンドラ〜西穂山荘〜独標〜西穂〜天狗岳(泊)
奥穂までと計画していたが台風の余波で風が強くガスで視界と足場が悪く天狗の頭で泊
2日目(14日) 天狗岳〜ジヤンダルム〜奥穂〜涸沢岳〜北穂〜キレット〜南岳(泊)
朝方は濃いガスで何も見えず、午後は時々晴れ間が出る、南岳キャンプ場泊
3日目(15日) 南岳キャンプ場〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳〜千丈乗越〜奥丸山〜新穂高〜富山市内
朝から終日快晴
台風14号が富山湾を通過中で北海道に抜ける模様との予報で、以後の晴天を期待して行く。
新穂高では心配していたゴンドラも通常運転をしており、聞いていたように定刻より早くから
動いていた。私たちが先の団体の後に並ぶと、すぐに追いかけるように多くの団体さんが私達の
後に並んだ。間一髪だった。
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13日(土) 8:10 新穂高ロープウエー乗り場 軽装の団体客に混じって並ぶと自分たちだけが異様に 感じられる。 ザックの重さを量って10Kg以上は300円 の追加である。 8:50 山頂駅で水を汲み足早に出る。 台風の風は特に感じ無く、曇りで視界は良くない。 |
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9:40西穂高山荘に着く 小屋の中で軽く食事をする 2Lボトルに水を補給し出る。 ガスで視界が良くない 同行してきたTさんを残して出る (Tさんは後から独標まで行き、1人ここに泊して 翌日西穂へ) |
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11:07西穂高独標に着く 何も見えない濃いガスの中、風をさけて斜面で 休憩している20人位の人がいる。 先を急ぐのでそのまま下る |
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独標より見るピラミッドピーク 奥が西穂高方向 |
![]() (参考写真) |
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そのピラミッドピークより振り返る |
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12:35西穂高岳に着く 何がなんだかわからぬまま着いた。 幾度かの小さなピークを越えたが良く分からない やはりガスで視界が無い 数人の人がいた。 |
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天気を考えてコースタイムを検討する 高井、山崎 |
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12:40西穂を下る いきなりの急下降に緊張するが、ここの岩場は ホールドがしっかりしていて見たほどの危険は 無かった。 途中マーキングが不鮮明で今回のようにガスの 場合は迷いやすい所がある。戻って安全なルート を探すがしかし、すごく緊張する場面が多い。 小さなピークの岩峰を越える度に立って歩けないから 腕に頼ってバランスをとる。これが辛かった。 |
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間の岳に向かう 途中から西穂高を振り返る |
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間の岳より天狗岳を見る 間の岳に着く 岩が濡れていて浮き石が多く上腕に頼る事 が多くあり、上半身の筋肉がぱんぱんに張っ ている。 岩場が不安定な為、クライムダウンで岩から 身体を離せ無くて下部のスタンスが見つけに くいのだ。 小さなリッジでもザックの重みを腕で支え四 つんばいになりながら渡る。 岩が濡れていると思っている以上に危険が 増す。セフティーファーストを心掛け慎重に動く ルートも不鮮明で踏み後を丁寧にたどる 下方が間天のコル 逆層スラブが天狗の登り取り付きにある |
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そのスラブを拡大してみる |
(参考写真) |
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登りを見上げる 逆層スラブが見えている |
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さらに拡大してみる 晴れていれば問題は無いのだが、時々横から 強風がザックを揺するのに加えて濡れている 岩のフリクションが信じられない。 (フラットに置く以外には確実にスリップした。) 雨が多いと苔が付きやすい事もあるのかな? そんなことから 鎖に全体重を掛けて強引に20〜30M位を 登る。 腕力と持久力勝負 一気に登ると無酸素状態で息も絶え絶え |
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(参考写真)![]() |
上部でハング気味の岩をさらに鎖に頼って腕力で登る。 すると鎖のとぎれた上部には微妙な感覚の一枚岩が ある。右横に渡るのだが、45度位の角度で寝ている。 ここがいやらしかった。 手がかりは上部にわずかな草付き、岩は濡れてスタン スがとれない。 腹這いになり岩に全身で摩擦抵抗をかけ、こわごわ ホールドを探す。幅は3M位だが滑り台のような所だ。 乾いていれば何でもない所なのだがこのような所は 本当に怖い。 |
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15:00 天狗の頭に着く ガスのなかで上に何も見えないところ(頂上)に着いた。 濃いガスと風で何も見えない。 思っていたよりも体力の消耗が激しい 登りはともかく下りには気をつかう。 天狗のコルまで下ることも考えられたがこの状態では 危険が多くてここでテント泊と決める。 幸いな事に頂上の下側に絶好のサイトがあった。 |
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天狗の頭より間の岳を見る |
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快適だったテントサイト 上高地を見下ろす絶好の位置である 平たい石を、みごとに組み合わせて平にしてあり 絶壁のテラスに最高の場所だった。 風の強い飛騨側には天狗の稜線が壁となっていて うまい具合に緩衝地帯となっていた。 夜半の雨もすごかったが、岩棚で漏水もなく快適だった。 明日のピーカンを期待して横になる。 (ラジオでは阪神が負けて優勝が延期であると伝えていた) |
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上高地と岳沢 当日は全く視界無し テントに入り休憩する頃から3人が頭痛と食欲 が無いと訴えた。軽い高山病と考えられた。 その日は酒も食事も進まず薬を飲んで寝る。 |
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14日6:40 天狗の頭発 早朝に一人の登山者がテントサイトを通過して いった。 「笠ヶ岳まで行くのだ」と言って実に軽快に行く。 夜明け近くに雨も上がり、岩は乾いており昨日よりは 格段に状態は良い。 落石に注意して慎重に下る。 2度ほど鎖を利用して下るが、コルに降りる最後の 鎖場は短いがチムニー状でハングしておりスタンス が見つけにくかった。 落ち着いて鎖に頼ってホールドを探すと下にピンが 有った。 天狗のコル 岳沢に下るエスケープルートと解説書にある ここにも小さなテントサイトがあった。 |
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畳岩への登り ガスの中に浮き出たようにルートが現れる。 昨日と違い、乾いているからそのまま渡る |
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8:00 ガスに煙る中をコブ尾根の頭?に着く 畳岩とおぼしき岩陰を見る、その名のように大きな 扁平な岩が、さも畳のように敷き詰めている。 広い台地のようだ (晴れていればお座敷だろう) その台地に写真のような姿の岩があった (上高地側) |
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その平らな所で休憩 ルートの確認をする 晴れていれば見えるはずの景色が無い |
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前方には薄くジャンダルムがシルエットに見える |
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ジャンダルム 基部から右側にバンドが有り前方に出る ガスっていたのでジャンには 登らなかった。 (参考写真) |
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コブ尾根の頭から奥穂方面を見る 左がジャン |
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ジャンダルムを信州側から巻いて行く ホールド、スタンスも問題ない。 |
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ジャンダルムを振り返る 反対側と姿が違って見える 何処をどう来たのか良く理解できぬまま ロバの耳を巻いて落石に注意してさらに下る |
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ところが取り付いてみるとホールドがしっが しっかりしており案外快適な登りだった。 岩が乾いているとルンルンなのだ。 |
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ガスの中を緊張したままザラザラの道を行くと、 なにやらざわざわと人の気配がし、 目を前方に向けると人の群れであった。 いつの間にか奥穂に着いていた。 あっけなく難所と言われる所を通過していたのだ。 |
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9:10奥穂高岳山頂 気が抜けたように雑踏の中に分け入る。 半分、緊張を解けないでいる不思議な心持ちのまま そばにいた方にシャッターを頼んだ。 |
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晴れていればこのように見えて いるはずの景色 奥穂から見る涸沢岳への登り |
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奥穂の下り(登り)ハシゴや鎖 下り始めると、洪水のように人が溢れている。 登る人、下る人がわんさかわんさかいる。 驚きだった。小屋までが蟻の行列のように人で つながっている感じだ 何とか追い越しながら下る。 小屋の直ぐ横に降りると下の写真となる |
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9:38奥穂高山荘 小屋に着くと、わずかにガスが切れて涸沢が 見渡せた案外近い! ザイテングラードから人が登ってくるのが見える。 |
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湯を沸かし軽く食事をとりトイレタイム 10:10山荘発 テントサイトを横目に緩い傾斜地を行くと すぐに涸沢岳に着いた。 |
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涸沢岳山頂につく 涸沢岳より見る北穂高 頂上より真下、岩場の凹に鎖が8M位 下がっており下から団体が連なって 登ってくる。 しばらく待ってから順調に下るが、浮き石や 崩れそうな岩が多い。 真下に人が居るといやが上にも緊張する。 涸沢岳からの下りは鎖と、ピンが いたる所にあり、やたらとマークが目に付く。 奥穂までと全く違う感じだ。 ただ浮き石と高度感が有るから油断は出来ない |
晴れていればこのように見えているはずの景色 ![]() (参考写真) |
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北穂を登る 一旦40〜50M位涸沢側に下り、涸沢からの道と 合流して、下った高さくらいに再び登り返すと 北穂に着いた。 反対側の滝谷側はすごい絶壁で切れ落ちている |
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12:30北穂に着く 所々、払ったように幕を開けて舞台を見せてくれる 頂上は険しい感覚とは違い、実に広い観覧場所だ。 時間があれば終日眺めていたい絶景の地である。 |
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北穂高山荘 小屋は足下の、絶壁に突き出たわずかな隙間に 上高地を見下ろすように建っていた。 |
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キレットを見る この頃になるとガスも晴れて 雄大な景色が見えてきた |
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一瞬の晴れ間に前穂と北尾根、涸沢 | ||
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12:40 北穂発 小屋のベランダ(観覧席)を伝って下降地点に 向かう 真下に下るルートはきれいに見通せている 下り口でのぞいていた少年に 「キレットに挑戦ですか!すごいですね」 などと 声をかけられて「?!」 ドキッとする。 飛騨泣きからキレット、南岳を見る 13:55 A沢のコル 足場の悪い逆層の狭いスタンス があり、 つなぎの所に木の橋が架かっていた。 片方の岩にシュリンゲが下がっており安全に 通過できる。 |
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A沢のコルより北穂を見上げると北穂小屋が 絶壁にへばりついている姿が良く理解できる 途中で年配の方がプロガイドに引率されて2.3組 登って来ていた。 ハーネスを付けロープで繋いでいる。 5人が繋いでいるパーティもあり複雑な 思いですれ違う。 |
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14:00 長谷川ピーク 大きな岩の下から20M位クライムし稜線に着くと反対 側に太い鉄の鎖が頑固にあった。 (指が通らない位にびくともしなかった。) よいしょとまたいで反対側に降りるとリッジに沿って 太い鎖と細いバンドがありカニの横ばいのように通過 難所らしき所は北穂からの下りと、この辺りだけだった。 後は快適な尾根歩き。 想像を絶する難所と聞いてきたのだが案外 問題視するところはなかった。 |
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最低鞍部より南岳を見上げる。 快適に尾根を渡ってきて最後の登りが見えてきた。 遠くから見ているだけでも驚異だったが真下に来て みると真上に登る感じだった。 厳しいところは無いのだが随分辛い登りだった。 しばらく登るとハシゴが2箇所に有り高度を一気に 上げる。 斜面を左に巻いて登ると、そこは天狗鼻と呼ばれる 見晴らしの良い所だった。 南岳小屋とキャンプ場が直ぐ下にある。 15:40南岳キャンプ場に着く 小屋で水を買う1L200円 |
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15日朝4:20 黎明の北穂高と小屋の灯 昨年の未明、対岸の蝶ヶ岳から北穂小屋の 灯がすごく輝いて見えていたので、このような ローケーションを思い描いてきた。念願の一枚 蝶ヶ岳からは奥穂小屋、涸沢小屋とこの北穂 小屋の灯が、闇夜に3つの点となって輝き、 その姿は想像を超えた舞台演出だった。 特に北穂の灯は印象が強かったのだ。 |
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5:00 キレットを見下ろす岸壁から常念岳のご来光 (天狗の鼻から) |
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同じく北穂とキレットを撮る 絶壁の岩棚に人がいる。 赤く染まる南岳の壁面が印象的だった。 |
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南岳より小屋と笠が岳 テントサイトの横から槍平へ下るルートが 続いてる。 小屋から出た多くの人が連なって下って行く (30年前にここを下った記憶があるが 何も覚えていない) |
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南岳より昨日のルートを見通す 遠くは乗鞍岳 |
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6:50キャンプ場を発つ 同じく小屋の向こうにキレットを挟み 前穂、北穂、涸沢、奥穂、西穂 |
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8:00槍ヶ岳を見る 朝の柔らかい光を受けて気持ちも軽やかに 尾根を行く 中岳、大喰岳を通過中。 槍ヶ岳が大きくなって近くなる |
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9:00山荘に着く 槍ヶ岳山荘から殺生ヒュッテ 奥には常念岳 |
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9:10槍ヶ岳山頂 山頂直下には長いハシゴがあって 朝日に輝いている。 9:35小屋に戻る 休憩と軽い食事 10:10小屋発 千丈乗越に向かう 西鎌尾根稜線上に双六、水晶岳、黒部源流部の 山々を見る。 |
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10:40 千丈乗越分岐点 千丈乗越から奥丸山に向かう 尾根にはブルーベリーとそれに似た実や 野イチゴなどが豊富で所々でつまみながら行く |
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尾根から槍平を望む | ||
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12::10 奥丸山に着く 頂上で県内からの登山者が2名来ていたので少し 話して、中崎尾根を下る 12:20 発 |
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14:00分岐点 表示看板有り 丸山の展望台を越えた鞍部の分岐点から左に下って 蒲田川に出る。 1:30分の行程と分岐点に指示標があった。 下りの沢には中間部に伏流水があり実に美味しい水が 湧き出ていた。トチの実も多く落ちていた。 蒲田川に出て、飛び石を伝って対岸に渡る。 土手を登ると旧車道に出てすぐに穂高牧場に 続く車道に合流した。 15:00ゲートに着く ゲートまでも車が入れない 15:10新穂高温泉着 別行動していたTさんの出迎えを受ける。 |
今回の教訓
いきなりの行動には要注意。今回ゴンドラを使い高所でペースの速い行動を取ったが為に
3名が軽い高山病になった。頭痛に吐き気、食欲無しである。いつもなら初日の酒宴は盛り上がるのだが!
薄い空気に馴化する間もなく西穂まで45分で歩いた事や岩場では岩が濡れておりフリックション
が利かない事もあり、腕力で支えることが多く、必要以上に消耗した事も一因しているように思われる。
(二日目には問題なく行動)
感想:
何しろ疲れた。晴れていれば爽快だったろう岩場も、景色もガスで見えなかったのは残念だが
無事完走出来た喜びは大きい。
※ 後日時間を見て 細かな点を追記したい。取りあえず報告